生きた化石を観察しよう

カブトエビは、鰓脚綱 葉脚亜綱 背甲目 カブトエビ科に属する甲殻類の総称。淡水性の原始的な小型甲殻類。乾燥卵を水中に入れるだけで1〜数日のうちに孵化する。雑草などを食べ脱皮をして成長するが寿命は一ヶ月程度。乾燥した卵は水につけると簡単に孵化する。

三億年前から生息している「生きた化石」カブトエビ


▲水田の浅い泥底をちょこちょこ歩いて雑草等を捕食中。

 メタボ対策で早朝の散歩を日課とした。5時半くらいに家を出て一時間半〜二時間くらいゆっくりと近所を歩く。都会の夏は7時になると暑くてもうダメだ。日射しも強いし空気も深いな暑さを含んでくる。散歩をする道筋には、都市農園として保護されている小さな水田の区画が散在しているので、通るときには足を止めて覗き込み、生き物たちがいないか観るのを愉しみのひとつにしている。
 先日、水田をひょいと覗きこんだら、オタマジャクシのような生き物がざわざわと泥をかき回すのが見えたので、身を乗り出してよく観てみたら、数本のヒゲが見えた。オタマジャクシにヒゲがあるわけはないので、ハゼやカジカの仲間かなと思い、畦を降りて良く見ると、カブトエビである。住んでいた地方にもよるのかもしれないが、わたしらオッサンがガキの自分には、田んぼにいる生き物と言えばカエルやザリガニやドジョウなどが中心でカブトエビを目にしたことはなかったような気がするのだが、どうなんだろうと思って、少し調べてみた。

「田の草取り虫」と呼ばれ、除草に一役買っている。

 日本国内の水田などでみられるカブトエビは、どうやら移入種のようで、原産はヨーロッパ、アジア、アメリカと多方から入ってきたもののようだ。6〜7月に大量発生するとあるが、ひと月ほどで乾燥に耐久性のある卵を産んで短い一生を終えるようだ。水田では、雑草の新芽を食べたり、雑草の根を浮き上がらせたりするので、「田の草取り虫」と呼ばれ、除草に一役買っている。わたしの見た水田ではどうかはわからないが、農薬などの使用を減らすために人為的に放たれているのかもしれない。

 調べてみると、「トリオップス」(Triops)などの名称の飼育セットが商品化されているようで、その中心はアメリカ産のカブトエビだが、耐久卵なので商品化も容易だし、飼育も簡単だから夏休みの自由研究などにはもってこいの生き物かもしれない。しかし反面、そういう商品からアメリカ産カブトエビが日本の生態系に侵入する原因にもなっているようだ。やはり昭和中後期に子供だった我々には珍しい生き物なのかもしれない。
 カブトエビは甲殻類だが、その姿を見ても想像できるように、かなり古い形質を残している種のようで「生きた化石」などとも言われる。よく見ると眼が三つあり、中央の小さな眼はノープリウス眼と呼ばれるものだ。分類上はミジンコ類と近縁でカイエビやホウネンエビとも比較的近く、甲殻亜門鰓脚綱に含まれる。名称や形態からカブトガニと混同されやすいが別種。
 なにしろ寿命が一ヶ月なので、夏休みの自由研究の題材にする人は急ぐべし!。